再生可能エネルギーへの熱交換器使用例

再生可能エネルギーへの熱交換器使用例

2011.3月の東日本大震災による原発事故発生以来、原子力発電に依存したエネルギー計画を見直すべく、国の政策方針も大きく見直されることになりました。
原発の停止により不足する電力需要を火力発電で一時的に補うのはやむを得ないことでしょうが、地球温暖化を抑制する為には化石燃料への依存度を下げていかなければなりません。
原発依存から再生可能エネルギー、新エネルギー政策への転換を模索する中で、再生可能エネルギーである地熱利用は最も現実性の高いエネルギー資源であります。
地熱発電の開発が本格的に始まれば、地熱を利用した環境施設、生産設備等、多くのインフラが構築されて行くと予測されます。
弊社もエネルギー変換の要である熱交換器を扱うメーカーとして、弊社製品の新たな利用方法と需要に向けてアイディアを発信して参りたいと考えております。

再生可能エネルギーへの熱交換器使用例

【弊社製品 導入事例】 顧客名:小国町森林組合
福岡市内から車で約2時間、熊本県阿蘇郡小国町、岳の湯地区では多くの地熱水蒸気が道路わきの田畑や川から湯気として立ち昇っています。
小国町では再生可能エネルギーである地熱を利用して、地元の木材を乾燥し、高品質で味わい深い木材製品を供給する事業を2009年より開始しておられます。
ここで利用されている地熱は、地下浅い場所より吹き出す蒸気(約110℃)を利用しています。
この蒸気を乾燥庫内に設置された放熱管(エロフィンチューブ)に通し、低温、中温で乾燥させていきます。
従来の蒸気式乾燥庫のように化石燃料などを使用しませんので、二酸化炭素を排出しない環境にも木材にも優しい乾燥を行うことが出来ます。

地熱乾燥による木材を使用した住宅造り : KJ WORKS 様

再生可能エネルギーへの熱交換器使用例

小国町森林組合 地熱乾燥施設のあゆみ

小国町森林組合様のホームページより抜粋

長年の懸案だった温泉の地熱乾燥利用について、環境問題への意識の高まりや原油価格の高騰を受け、平成19年に実験棟を1基建設し、2年間の実証実験で成果を残し、平成21年、22年、24年の3ヵ年にわたり、乾燥庫を増設し、ようやく需給体制が整いました。
写真は平成21年に稼働した乾燥庫です。

再生可能エネルギーへの熱交換器使用例

庫内加温用放熱管 エロフィンチューブ

乾燥庫内にはエロフィンチューブが配列されています。
SGP管+SPCCフィン 耐熱シルバー塗装 JISフランジ付
管内には約110℃の蒸気が流れています。

再生可能エネルギーへの熱交換器使用例

木材乾燥施設 庫内

乾燥庫下部にエロフィンチューブを見ることができます。

地熱利用の木材乾燥は、化石燃料を使用しません。
自然環境に負荷をかけることなく、上質な木材製品を生産しています。
庫内に設置された放熱管に蒸気を送り、50℃~65℃くらいでじっくり乾燥させることにより、木材への負担を抑え、木材内の水分もムラが無く理想的な含水率になります。
木材表面の美しさ、香り、手触りともに現地確認が出来て、弊社の製品がお役に立っていることに喜びを感じる瞬間でした。

再生可能エネルギーへの熱交換器使用例

木材乾燥施設 全景

2013年、7月現在、14基の乾燥庫が設置されており、良質な小国杉の木材製品を使った木造住宅が建築されています。

再生可能エネルギーへの熱交換器使用例

地熱エネルギー利用 可能性の実証

今回、お世話になりました小国町森林組合にて事業に対する取り組みと今後の展望についてお話を聞かせて頂きました。
小国木材のブランド化と販売展開、地熱乾燥による食品製造など、人の知恵と自然の恵みを合わせた可能性あふれる本事業は、やはりこの町に対する愛情から生まれてくるものだと感じました。

弊社は自然豊かな環境で事業を営むお客様のもとへお伺いすることが多々あります。
自然と共生するというありふれた表現は、実際に素晴らしい環境に触れた時には恥ずかしくて使えない言葉だと思います。
事務所から弊社製品が納められている乾燥施設へ向かう車中、職員さんの掛け合いも微笑ましく、この木材乾燥に関わる人達と、自然エネルギーの有効利用を営みとするお話でジブリの映画が出来てしまうのではないかと思いました。

当組合では、地熱利用を木材乾燥の事業として立ち上げ、軌道に乗せ、すでに木材以外にも農産物の加工製品等に応用していく取り組みをされています。
アメリカやカナダでは、すでに木材の地熱乾燥が行われており、日本でも本格的な産業として伸びていくことを願ってやみません。
近い将来、日本でも各自治体が地熱発電に取り組み、地域の産業に電力を供給する日がくると考えられます。

再生可能エネルギーへの熱交換器使用例

エロフィンチューブの利用方法

エロフィンチューブは、工業製品乾燥だけでなく、施設用として農業ハウスや工場暖房、建物壁面の融雪などに利用されています。

今回、小国町森林組合殿にて地熱乾燥施設へご使用いただきましたように、既存の製品を新しい利用方法で時代が求める需要を開拓していかなければならないと痛感しました。

これからの日本のモノづくりは創意工夫、知識と技術、現場の経験だけでなく、
基礎力を生かしたアイディアから派生するものに新たな価値を生み出す力(お金を生み出す力)が求められています。
それが出来れば、社会的に大きな変化を起こし新たな活力が生まれてくることでしょう。